第115回看護師国家試験 午後84
急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 基本的な治療は手術である。
- 初発症状は上腹部痛である。
- 鎮痛薬の投与は禁忌である。
- 血中アミラーゼ値が低下する。
- 重症度判定には造影CTが重要である。
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答え
2 初発症状は上腹部痛である。、5 重症度判定には造影CTが重要である。

WING先輩の解説
急性膵炎は、自分で自分の体を分解する
膵液は、糖質・脂質・タンパク質を分解する万能バサミです。膵液は何でも溶かせるんです。本来は消化管で働く消化酵素が、膵臓の中で活性化して膵臓自身を傷つける。自分で自分の体を分解するんですね。これが自己消化です。膵臓は火薬庫。中にあれば安全なんだけど、漏れてきたら大変なことになる。
自分を分解する酵素が出すぎてるから、抑えなあかん。急性膵炎の治療には、蛋白(タンパク)分解酵素阻害薬を使います。 膵液に含まれるタンパク分解酵素の働きを抑える薬です。ほかに、絶飲食で膵臓を休ませる、輸液で全身の状態を支える、痛みを和らげる。どれも病態から出てくる治療です。
みぞおちから背中が痛い・アミラーゼとリパーゼ
自己消化による炎症が起これば、上腹部に急な強い痛みが現れます。みぞおちから背中にかけてです。膵臓は背中側にある後腹膜臓器なので、背中痛いんです。血液検査ではアミラーゼとリパーゼが上がります。膵液が血液中に漏れてるんだから上がる。覚えておいてほしいのはリパーゼも上昇ですよ。
どこまで傷んでいるかは、膵酵素の値だけでは分かりません。造影CTで壊死の広がりを診る。お腹の溶け具合を見ます。血流や炎症の広がりを調べ、重症度を評価します。答えは2と5。
選択肢を確かめる
× 1.基本的な治療は手術である。
手術ではなく、めっちゃ点滴します。蛋白分解酵素阻害薬を使い、絶飲食・鎮痛も行います。急性膵炎なら直ちに手術が原則、とはしません。合併症などに応じた処置が必要になる場合と分けます。
○ 2.初発症状は上腹部痛である。
急な上腹部痛は代表的な初発症状です。夜中にみぞおちが痛くて救急車呼びましたっていうのが典型的。自己消化による炎症が、みぞおちや背中の痛みとして出ます。
× 3.鎮痛薬の投与は禁忌である。
急性膵炎は結構痛がります。鎮痛薬の投与は禁忌どころか積極的に使っていきます。楽な体位を整えることも、痛みへの援助になります。
× 4.血中アミラーゼ値が低下する。
基本はアミラーゼ・リパーゼの爆上がりです。ただし測定時期などで上がらないこともあるため、値だけで診断や重症度を決めません。
○ 5.重症度判定には造影CTが重要である。
造影CTでお腹の溶け具合、つまり膵壊死や炎症の広がりを評価します。造影剤を使えるかは患者ごとに判断し、すべての患者へ無条件に行うわけではない。
正答:2、5
セットで押さえよう
膵炎の痛みと体位は、「サンドイッチ」と「エビのように丸まる」。膵臓は後腹膜臓器です。後ろに背骨あるでしょ。背骨あって内臓があるでしょ。仰向けで寝ると、膵臓が内臓の重みと背骨で押しつぶされて、サンドイッチで痛いです。内臓が上に乗っかってくると痛くなります。だから仰向けを避けて、膝を抱えて前かがみになる。エビみたいに丸まっていることが多いです。その姿勢が一番楽。
絶飲食は、膵臓を休ませるためです。昔はね、絶食が当然だったんですけど、最近はできるだけ早くから食事再開できるならちょっとずつ再開してくださいと言われるようになってきました。その後の栄養は、病状を評価して進めます。
何も見ずに思い出す
急性膵炎の病態と、タンパク分解酵素の働きを抑える治療薬は?
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膵酵素による自己消化。自分で自分の体を分解します。治療には蛋白分解酵素阻害薬を使います。
血液検査と造影CTで、それぞれ何を見る?
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血液検査ではアミラーゼとリパーゼ(両方上がる)、造影CTでは壊死や炎症の広がり(お腹の溶け具合)を評価します。正答は2、5。
痛む人が「エビのように丸まる」のを、膵臓の位置から説明すると?
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膵臓は後腹膜臓器です。仰向けでは、上に乗った内臓の重みと背骨に挟まれて「サンドイッチ」になり、痛みが増す。だから前かがみ・膝を抱える姿勢が楽です。
参考資料
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