第115回看護師国家試験 午前29
肺血栓塞栓症の確定診断に用いるのはどれか。
- Dダイマー
- ヘモグロビン
- プロトロンビン時間〈PT〉
- 活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉
解答・解説を見る解答・解説を閉じる
答え
1 Dダイマー

WING先輩の解説
血栓を作る働きと、溶かす働き
血液が固まるときには、凝固因子が働き、フィブリンの網がかかって頑丈な血栓になる。そのフィブリンを分解するのが線溶です。「作る」と「溶かす」は別の働きです。
Dダイマーは、架橋されたフィブリンが分解されると生じる物質です。血栓ができて、溶かされていることを考える手掛かりになります。この4つの中で、肺血栓塞栓症に関係する検査はDダイマー。答えは1。
ただし、Dダイマーは、高いからといって肺血栓塞栓症があるとは限らない検査です。 問題で選ぶものと、検査の本当の使い方は分けておきます。
Dダイマーは、何が分かる検査?
Dダイマーは、肺血栓塞栓症以外でも上がります。手術後、妊娠、がんなどでも高くなるので、陽性=肺に血栓がある、と一対一には結び付きません。
一方、検査前に肺血栓塞栓症の可能性が低い、または高くないと判断された人なら、Dダイマーが低ければその疾患はないっていうふうに使える。除外に役立ちます。大事なのは「可能性の評価と組み合わせる」こと。陰性ならどんな患者さんでも否定できる、とは限りません。
肺血栓塞栓症が強く疑われる場合は、陰性のDダイマーだけを頼りにせず、画像検査へ進みます。診断では造影CTなどで血栓を確認することが重要です。造影CT撮ったら、肺動脈に詰まった血栓そのものが見える。血液検査の値と、血栓そのものを画像で見る検査は、役割が違います。
他の三つは、何を見ている?
ヘモグロビンは、赤血球の中にいる酸素を運ぶトラックです。貧血などを評価するときに使います。肺動脈に血栓があるかは、これだけでは判断できません。
プロトロンビン時間〈PT〉は、血が止まるまでの時間と言い換えるとわかりやすい検査です。活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉も、PTみたいなもんやと思っておいてください。どちらも血の止まりやすさの尺度、凝固因子の程度を見てる。凝固系の異常や、使っている抗凝固薬の影響を評価するときに用います。
血栓が関係する問題だから凝固時間を選ぶ、とはなりません。PT・APTTは凝固の働きを時間で見る。Dダイマーは、できたフィブリンが分解されたことを見る。 「血が固まる話」の中でも、見ている段階が違います。
脚から肺まで、血液の道をたどる
足にできた血栓が飛んでいって肺に詰まります。脚の静脈→右心系→肺動脈。下肢深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症です。肺へ行く道をたどれば、DVTと肺血栓塞栓症がつながります。
血栓ができる側を抑えるのが抗凝固薬。凝固因子を抑えれば血液はサラサラになります。固まりにくくなります。すでにできた血栓を溶かす働きを利用するのが血栓溶解薬です。ここでも作らせないことと、溶かすことは別。
検査の役割を言い分ける
Dダイマーは、何が分解されたときに生じる物質ですか?
架橋されたフィブリンです。凝固と線溶が起きていることを考える手掛かりになります。
Dダイマーが高ければ、肺血栓塞栓症で確定ですか?
高いだけでは確定しません。手術後や妊娠、がんなどでも上がるため、検査前の可能性の評価や、造影CTなどの画像検査と組み合わせます。
PT・APTTとDダイマーは、何を見る点が違いますか?
PT・APTTは凝固するまでの時間、Dダイマーはフィブリンが分解されて生じた物質を見ます。
同じ分野の問題も解いてみよう
